量子制御技術部門

第1回研究紹介

高野 敦志TAKANO Atsushi

専任 特任教授

名古屋大学 未来社会創造機構 量子化学イノベーション研究所

「ブロック共重合体の自己組織化構造を利用したナノ相分離構造の精密制御」

プラスチック、ゴム、繊維など高分子と呼ばれる材料は、小さな分子(モノマー)が多数、共有結合で連なってできたひものような長く巨大な分子からなります。代表的なものとしてポリエチレンポリスチレンなどがあり、私たちの身の周りでも数多く利用されています。

最近では、性質の異なる2種類以上の高分子を連結(共有結合)させた高分子、すなわち図1に示すようなブロック共重合体が使用されています。種類の違う高分子は通常、水と油のように仲が悪く、互いに混ざり合わないため、ブロック共重合体は固体状態においては。それぞれの成分同士が分かれるために、図2に示すような分子の大きさ程度(10~100nm)の相分離した規則構造(ナノ相分離構造という)を形成します。

ブロック共重合体の成分高分子のつなげ方を工夫すると複数の高分子をきちんと並べた構造を作ることができます。この規則的に分かれた相に対して、機能を与えてあげると、例えば、図3に示すような(a)特定の物質のみを通す「分離膜」になったり、(b)透過する光のうちのある成分だけを通すために、着色させた「光学フィルター」になったりと、様々な応用ができる材料になります。

現在、様々な高分子をつなげると共に、その組成を制御することにより、非常に多彩な構造制御を進めています。

 

図1.ブロック共重合体の分子構造

図2.ブロック共重合体の自己組織化により形成されるナノ相分離構造

図3.ブロック共重合体の応用例:(a)分離膜、(b)光学フィルター